第9回山梨フジカラーフォトグランプリ受賞作品

【総評】風景写真家　佐藤 尚

たくさんのご応募、ありがとうございました。審査会場で一生懸命、丁寧に作品を拝見させていただきました。皆さまがコンテストにご応募されると、撮影で目標を持つことになり、撮影後には写真を見返されたり、気に入った写真をプリントしたりして、しっかりと確認作業をされることになります。きっと、その過程はすべてが楽しかったのではないかと思います。そのお気持ちは必ず写真の表現力の向上につながっています。

入賞された作品の上位には、被写体選びや構図などの撮影技術以外にも、作者の撮影時の心情が伝わってくるような作品が選ばれたと思います。たとえば、渡辺英基さんの「桜と富士山」の作品は、よく観察して美しい桜の花を見つける被写体選びをし、近づくことで基本的構図から脱却し、春の喜びを表現されています。作品には写真の楽しさが溢れていて、渡辺さんのお気持ちが私に強く伝わってきました。

山梨県には、富士山、南アルプス、八ヶ岳など秀でる名山が多数あります。森や川などの豊かな自然、古くからの文化が作り上げた名所旧跡、人々の営みがある田園や町、47 都道府県の中でも被写体は豊富にある県だと思っています。富士山は特に素晴らしい被写体です。山の写真は多く応募がありました。でも、草木花や清流や滝や、古い街並みやお祭りなどは、応募作品に少なかったのは意外でした。もっともっと、撮影分野を広められても写真の楽しさが広がるだろうと感じさせていただきました。

私の撮影モットーは「楽しく写真を撮る」ことです。そして、撮影ルーティンは、一つが「まず1 枚を撮る」、もう一つが「歩く、動く、観察する」です。撮影現場では気軽にまず何でも撮るようにし、足を使って被写体探しをし、写真を楽しんでいただけましたら幸いに思います。